神鳥邸の午睡– category –
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神鳥邸の午睡
【神鳥邸の午睡】春物を用意する話
美鶴は新作です、と邸宅内のスタッフから渡された紙袋を開けた。仁科とともに過ごす寝室のベッドの上、冬用のふっくらとした温かな掛け布団には、キメが細かく、滑らかなカバーがかけられている。そのカバーの上に、美鶴は服飾関係部門のスタッフから渡... -
神鳥邸の午睡
【神鳥邸の午睡】春になりかけの話
二月も終わりの頃、身を切るような冷たい風が吹き抜ける日がだいぶ少なくなり、暖かな春の日差しを感じられる日が増えてきたころだ。本革素材の防風性にすぐれた手袋を使う機会も減り、暖かなダウンジャケットもだいぶ着用頻度が下がってきた。体温調整... -
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思い出とお気に入りの話
仁科は寝る前に玄関にいた。自分の外履き用の靴に防汚/防水のためのスプレーを吹きかけていたのだ。ドアを開けて換気をしながら人一倍大きな靴にスプレーを吹き、明日も無事に汚れないようにしていた。彼は二週間に一度、こうして靴にスプレーをする習... -
神鳥邸の午睡
巡る季節の話
一年が過ぎるのはあっという間で、年々早く回っている気がする。そう美鶴は思っている。 特に実家を出てきた今年は、あっという間に過ぎるというのが、まさに文字通りだった。めまぐるしく回りすぎて、めまいを起こしそうなほど世間の季節の巡りは早か... -
神鳥邸の午睡
ハロウィーンと黒猫の話
美鶴と仁科は神鳥本家の商店街にいた。本家邸宅敷地内には、温泉や映画館、劇場といった娯楽・休養施設のほか、邸宅内でのみ利用できる仮想通貨・ゆかり(一円=一ゆかりである)が利用できる商店街・緋鳥街(ひとりまち)がある。商店街やその他施設は... -
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『うまく言えない』から始まり、【珈琲】の出てくる話
『うまく言えない』から始まり、【珈琲】の出てくる話(予備:魚・霧) お題ガチャ #書出ワード https://odaibako.net/gacha/171 うまく言えない、と仁科は常々思っていた。 美鶴がさらさらの肩甲骨まである長い黒髪をなびかせるたびに、白魚のようにほ... -
神鳥邸の午睡
「あの人、みんないつも仁科さんって呼ぶけど、書類上の名字はどっちだっけ」
あれ、と声を上げたのは新人スタッフだった。 本邸スタッフを親に持っていたり、幼い頃に神鳥家にスカウトされた天涯孤独な子どもたちが育ってスタッフとなることが大半の神鳥家本邸スタッフだが、ごくごくまれに――本当にまれに外部からの転職組がいる... -
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『初めてだった』から始まり、【月】の出てくる話
『初めてだった』から始まり、【月】の出てくる話(予備:手帳・沼) #お題ガチャ #書出ワード https://odaibako.net/gacha/171 ▼▼▼ 初めてだった。美鶴にとって、屋外で自分で肉を焼くという行為が初めてだった。時々、本邸スタッフの家族たちが、家庭持... -
神鳥邸の午睡
ストリートピアノと連弾の話
その番組を見たのは、本当に偶然だった。 衛星放送に切り替えていたのも知らずにつけたテレビが、たまたま衛星放送の公共放送を流していたのだ。それはストリートピアノの番組だった。街中に設置されたピアノを弾く人たちに話を伺うというものだった。... -
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【R18】夫婦だから、見せられる顔。
女性にしても華奢な体躯をしている美鶴は、どこもかしこも細い。首も腕も、足も胴体もなにもかもが細くて薄い。内臓が入っているのか不安になる細さの彼女は、今は大好きな夫である、仁科貴臣と入浴中だった。 夫である仁科は美鶴とは対をなすように、...